平成30年  3月 定例会 - 03月12日−03号

◆39番(溝口芙美雄君) (拍手)〔登壇〕皆さん、おはようございます。
 自由民主党・県民会議会派の溝口芙美雄でございます。
 まず、一般質問の冒頭に当たり、昨日、3月11日、一日中放送があっておりました、7年前の午後2時46分、東日本大震災が発生し、1万8,000人を超える死者、行方不明者が出ました。心からご冥福を申し上げます。
 また、今でも仮設住宅などにおいて避難生活を余儀なくされておられる皆様方にお見舞いを申し上げますとともに、一日も早い復興を心からお祈りいたします。
 本日、新県庁舎、新議会棟議場におきまして、定例県議会がはじめて開催され、最初に一般質問をできる機会を与えていただきましたこと、県議会議員の皆様方、特に、自由民主党・県民会議会派の議員の皆様方に心から感謝を申し上げますとともに、光栄に存じている次第でございます。よろしくお願いいたします。
 中村法道知事におかれましては、3期目の当選おめでとうございます。これから4年間、山積した課題解決のため、リーダーシップを発揮して、思い切った施策に取り組んでいただき、ぜひ成果を上げていただきますことを心からお願い申し上げます。よろしくお願いいたします。
 それでは、通告に従いまして、順次質問させていただきます。
 1、知事の基本姿勢について。
 (1) 平成30年度当初予算に対する所見について。
 平成30年度当初予算案は、選挙という時間的な制約がある中、6,960億円が計上されており、県内経済の活性化に向けて、切れ目なく対応するため、人口減少対策や有人国境離島対策、県民所得向上対策等を含め、政策的経費を可能な限り計上した予算を編成されております。
 また、選挙期間中に県内各地を訪問され、実感された地域課題に対応するため、「人に生きがいを」、「産業に活力を」、「暮らしに潤いを」の3つの基本姿勢を持って予算を編成された点では、一定の評価をしております。
 一方、今回の予算には盛り込めなかった施策もあると伺っております。
 そこで、平成30年度当初予算案について、どういった思いで編成されたのか、今後の展開も含め、その所見をお尋ねいたします。
 (2) 人口減少対策について。
 本県の人口は、昭和35年の176万人をピークに、平成27年の国勢調査で約137万7,000人にまで減少し、近年では、毎年約1万人が減少を続けるといった厳しい状況に直面しております。
 こうした中、知事は、これまでも、平成27年に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定するなど、人口減少対策に本腰を入れてきましたが、依然厳しい状況が続いております。
 知事は、今回の選挙期間中に、県内各地域を訪問する中、集落等の深刻な状況を目の当たりにされ、改めて人口減少を何としても止めなければならないという思いを強く持たれたのではないかと考えております。
 平成30年度当初予算案においても、さまざまな人口減少対策を講じられていると思いますが、社会減対策と自然減対策のそれぞれを見た時に、しっかりと予算で対応できるものもあれば、今後の課題として対策を練っていきたいと考えているものもあるのではないかと感じております。
 そこで、本県の人口減少に歯止めをかけていくために、今後の課題をも含め、この3期目で、特に、どのような取組に力を入れていこうと考えているのか、お尋ねいたします。
 (3) 県民所得向上対策(製造業の振興〔企業誘致〕)について。
 本県の県民一人当たりの所得は、平成26年度の長崎県の発表によりますと、235万2,000円で、全国45位であります。
 県においては、県民所得の向上を図るため、各分野で目標を設定して取り組まれております。「製造業で所得の落ち込みがあったが、他の分野では施策の効果が出はじめているので、目に見える形で成果を上げていく」と知事は言われています。
 製造業の落ち込みは、県民所得低迷に大きな影響があります。そのようなことから、私は製造業が強くなることが県民所得向上につながると考えており、製造業の振興が最も大切と考えております。
 特に、企業誘致においては、大きな雇用を生む企業や県内企業に発注する企業を誘致できれば、地域経済への波及効果も高く、また、良質な雇用の場が確保されることにより、工業高校生等の若者が県内にとどまる効果も期待されております。
 知事は、これまでの製造業誘致の取組を振り返って、どのように評価をされているのか、お尋ねします。
 また、3期目に当たり、知事は、新しい基幹産業づくりをと言われていますが、どのような産業分野の製造業を誘致するのか、知事の思いをお尋ねいたします。
 (4) 九州新幹線西九州ルートの推進について。
 九州新幹線西九州ルートは、本県だけでなく、西九州地域の将来の発展を見据え、必要不可欠な高速交通インフラであります。
 西九州ルートへの導入が前提となっているフリーゲージトレインについては、昨年7月の国の軌間可変技術評価委員会の結果、耐久走行試験の再開に至らず、JR九州は、安全性及び経済性の面から、フリーゲージトレインによる西九州ルートの運営が困難であるとの見解を示されました。
 このようなことから、中村知事におかれては、昨年7月、現在整備中の武雄温泉〜長崎間のインフラを十分活用できる最善の選択肢として、フル規格による西九州ルートの整備を求めるという大きな決断をされました。
 現在、国においては、フリーゲージトレイン、フル規格、ミニ新幹線の各整備方式に関し、費用や投資効果などの比較検討作業がなされており、今月末をめどに、与党PTの九州新幹線西九州ルート検討委員会に報告され、それらの結果を踏まえて、本格的に議論が行われ、今後の整備のあり方について、一定の結論が得られることとなっております。
 新幹線の整備効果は、全国の高速鉄道ネットワークと結ばれてこそ効果が最大化するものであり、対面乗り換え、リレー方式の固定化は避けなければならないと考えております。
 このような中、西九州ルートは、これから極めて重大な局面を迎えることとなりますが、ぜひとも、知事には、フル規格に向けた国の方針を取りつけていただきたいと思います。
 そこで、今後、知事は、フル規格の実現に向け、どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねします。
 また、フル規格による整備に向けては、佐賀県の地元負担が大きな問題であり、佐賀県との協議が必要ではないかと思いますが、どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねします。
 (5) 石木ダムの建設推進について。
 石木ダムについては、川棚川の治水対策、佐世保市の水源不足解消のために必要不可欠なダムであります。
 川棚川は、過去に洪水を繰り返してきた歴史があり、昨今の予想を超える大雨が頻発している全国的な気象条件を踏まえると、下流域の方々の安全のために、ダムは早急につくらなければなりません。
 また、私は、長年佐世保市に住み、渇水を体験してきましたが、安定した水源の不足は、佐世保市民にとって深刻な問題であり、改善を図らなければならないと身をもって強く感じているところであります。
 佐世保市は、西九州自動車道の整備が進めば、企業誘致が進むでしょうし、ハウステンボスにおけるIR施設の整備、国際クルーズ船の拠点整備など、国際化が進む観光都市としても大いに発展が見込まれている県北の中心都市であります。このような県にとって重要な都市が、今後発展していくうえで、水の確保は極めて重要であり、石木ダムは、なくてはならないダムであります。
 工事に関しては、現場内での妨害が続いている中、事業を進めようと進捗に力を注いでいると聞いております。何とか一日も早くダムを完成することができるよう、引き続き、知事には力を尽くしていただきたいと考えております。
 施工中の付け替え県道工事は、現在、どのような状況にあり、今後のダム本体工事については、どのような見通しを持っておられるのか。そして、工事を進めるに当たり、どのような姿勢で臨まれようとしているのか、お尋ねします。
 (6) 県庁舎跡地の活用について。
 知事は、県庁舎跡地の活用について、昨年2月の定例県議会における私の一般質問に対する答弁で、県が活用策として、これまで示してきた3つの方向性に関する、その段階での整備に関する考え方を表明されました。
 知事が示されたのは、「にぎわいを創出する広場」と「交流・おもてなしの空間」について、整備に向けて先行して検討し、「質の高い文化芸術ホール」については、長崎市が整備を検討しているMICE施設との機能重複がないかなど、市議会の審議状況などを見極めたうえで、今後、適切な時期に整備に関する方向性を判断したいといったことでありました。
 県では、本年1月から新県庁舎での業務をはじめたことから、今後は、旧県庁舎周辺の地域にも新たなにぎわいを生み出すことができるように、県、長崎市、地元商店街関係者などが一体となって具体的な取組を進めていくことが大切であると考えております。
 しかし、その一方で、県の検討に影響を与えかねない動きとして、長崎市は、当初、現在開会中の2月市議会にMICE施設の整備に関する予算議案の提出を予定していましたが、先般、優先交渉権者グループのうち、1者が本事業に参加するための資格要件を失った結果、いまだ市議会への議案提出に至っていないと聞き及んでおります。
 そこで、知事に県庁舎跡地の活用策に関する現在の基本姿勢を確認したいと思いますが、知事は、県庁舎跡地の活用について、特に、文化芸術ホールの整備について、長崎市との関係など、どのような現状認識のもとで、今後、文化芸術ホールをも含めた3つの方向性の検討を進めていこうとされているのか、お尋ねします。
 (7) 今後の財政運営について。
 これまで申し上げてきたように、本県にはさまざまな課題が山積しており、知事には、ひるむことなく、しっかりと対応していただきたいと考えております。
 一方で、持続可能な県政のためには、財政状況にも気を配る必要があります。本県は、製造業が少ないことから県税収入の割合が低く、非常に厳しい財政状況にあると認識しております。
 そのため、毎年、財政調整のための基金を取り崩しながら財政運営をしており、平成28年度末には263億円と、ピーク時の半分以下にまで減ってきていると聞いております。
 知事は、10月の予算決算委員会の総括質疑において、「平成33年度までに基金の取り崩しに頼らない財政運営を目指す」と明言されましたが、平成30年度当初予算は、財政状況について改善したと言えるのか。また、今後、どのように基金取り崩しに頼らない財政運営を目指していくのか、お尋ねします。
 また、基金取り崩しに頼らない財政運営を実現するためには、地域経済の活性化も重要な視点であります。地域経済の活性化を図るためには、行政だけでなく、地元金融機関の役割が非常に大きいと思いますが、地方銀行の経営環境も厳しくなってきております。
 そうした中で、本県の公金取扱銀行である親和銀行を傘下に持つ福岡フィナンシャルグループと十八銀行が経営統合を進められておりますが、公正取引委員会の審査が長期化し、いまだめどが立っていない状況となっております。
 地域経済にとって銀行の果たす役割は大きく、企業経営者にとっても、自らのメーンバンクの動向は極めて関心が高い事項であるとともに、今後の本県財政運営を考えた場合においても、両行の経営安定化は非常に重要な課題であると考えております。
 知事は、この経営統合について、どう考えているのか、お尋ねします。
 2、交流人口の拡大について。
 (1) 世界遺産登録の推進について。
 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」については、今年の世界遺産委員会での登録を目指して、関係者が一丸となって取り組まれていることと思います。
 振り返りますと、平成19年に「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」として、ユネスコの世界遺産暫定一覧表に登録されてから、今日まで10年を超える年数が経過いたしました。
 一昨年、平成28年には、世界遺産として登録されることを県民の皆さんが期待しておりましたが、イコモスの中間報告が大変厳しい内容であったため、一旦推薦を取り下げ、さらに構成資産を見直すという苦渋の決断を経て、名称を変更し、昨年2月に改めて推薦書が提出されました。
 昨年9月には、イコモスの現地調査も終わり、いよいよ登録を間近に迎えるまでに至っておりますが、2年前の取り下げのこともあり、私は最後の最後まで気を抜かずに、登録に向けて必死に取り組むことが重要であると考えます。
 地元の皆さんや長崎大司教区のほか、県民全体の協力もあって、登録に向けた機運は高まっておりますが、登録をより確実なものとするためには、政府やユネスコ、イコモスへの働きかけをしっかりと行っていく必要があると思っております。
 そこで、今後、県として、どのような要望、働きかけを行っていくつもりなのか、お尋ねします。
 (2) 特定複合観光施設(IR)について。
 現在、IR実施法案の今国会への提出に向け、設置箇所数などの制度設計案の検討が進んでおります。
 地方の人口減少に歯止めをかけ、日本全体の活力を上げることを目的とする地方創生の観点から、大都市だけでなく、地方にもIRを整備すべきであると思います。
 本県にIRが実現した場合、交流人口の拡大等が図られるとともに、新たな雇用の場が生まれることから、人口減少の歯止めに寄与するものと私は考えております。
 しかし、国は、地方創生と言いながら、現在の国の方針には、大都市と地方の区別はないとお聞きしております。
 本県へのIRの導入は、地方創生及び我が国の発展に向けた、より多くの政策効果を生み出すことができ、本県がIRの区域認定を受けることで、IRによる地方創生の先駆けとなることを強く国へアピールしていただきたいと考えております。
 そこで、本県へのIR誘致に対して、知事はどのような姿勢で取り組まれていくのか、お尋ねします。
 (3) アクセス道路の整備について。
 全国的にインバウンド観光が注目される中、観光立県である本県においても、観光産業の活性化に取り組まれているところであります。
 このような中、国際クルーズ拠点に指定された佐世保港の浦頭岸壁が整備され、海外からのクルーズ船が入港した時には、港周辺の混雑が考えられることから、特に、ハウステンボスにつながる国道202号の浦頭交差点から西海パールライン入口交差点間は、交通混雑に拍車がかかるのではないかと危惧しております。
 この間の道路整備について、県としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねします。
 3、農林水産業の振興について。
 (1) 農林業について。
 本県の農林業は、離島・半島地域や中山間地域が多く、平坦地が少ないという地理的に決して恵まれない条件の中、農家の方々や関係団体の皆様のご努力により、平成28年の本県の農業産出額は1,582億円と、平成22年から7年連続して増加し、ここ10年間の伸び率も、全国の10.4%に対し、本県は19%と大きく増加しております。しかしながら、県の産出額に占める生産農業所得の割合は、全国で36位と、昨年の41位から上昇しているものの、全国的にその位置は低い状況にあります。
 また、農業従事者の高齢化や担い手の減少などのほか、施設園芸では、全国トップ産地に比べ反収が低いことや、全国に比べ経営規模が小さいこと、面積、生産量が減少傾向にあること、露地野菜や果樹では、労力不足など課題があります。肉用牛では、繁殖頭数が増加に転じたものの、元牛価格の高どまりによる肥育農家の収益性悪化など、農業経営を取り巻く現状は大変厳しく、今後、生産規模が縮小し、農山村の活力が低下するのではないかと危惧しているところであります。
 このような中、県では、平成28年度から「新ながさき農林業・農山村活性化計画」に基づき、農林業、農山村全体の所得向上に向けて、規模拡大や生産性の向上、低コスト化やブランド化、新規担い手の確保・育成などに取り組まれていますが、こうした農業・農村の現状を見れば、本県の農業生産を拡大し、農業所得の向上を図っていくうえで取組を強化していく必要があると考えますが、県は、今後、どのような施策に取り組んでいくのか、お尋ねします。
 (2) 太平洋クロマグロの資源管理について。
 我が国では、太平洋クロマグロの資源回復を図るため、国際規約に基づき、平成27年から漁獲量の上限を設けて、漁獲を抑制する資源管理を実施しています。
 本県には、国の承認を受けたクロマグロ沿岸漁業者が約2,500名もおり、漁獲量は全国一を誇っております。このため、本県漁業者は、重要なクロマグロ資源を維持するため、懸命に資源管理の取組を行っています。
 しかし、昨年7月からはじまった第3管理期間における全国の漁獲状況は、北海道の定置網での大量採捕によって、漁獲量が積み上がり、本県は、1月現在で小型クロマグロは全国の漁獲上限である3,424トンを超過するおそれが大きいとして、水産庁は1月23日に、全国の沿岸漁業者に対し、クロマグロを目的とした操業を自粛するよう要請し、県も同日付けで関係漁協等に対し、操業自粛要請を行っていると伺っております。
 この操業自粛要請によって、価格が高くなる時期まで漁獲を我慢してきた漁業者が制約を受けるなど、漁獲枠を守り、計画的に操業してきた漁業者にとっては不公平感が広まり、経営上も大きな影響を受ける事態となっております。
 漁業者からは、先に捕った者が得するような現行制度に対する不満や、これ以上の我慢には耐えられないとの声も聞こえております。
 資源管理の必要性は十分理解しますが、漁業者の生活とバランスも考えていかなければなりません。このようなクロマグロをめぐる情勢に対し、県はどのように取り組んでいくのか、お尋ねします。
 壇上からの質問はこれで終わり、再質問は対面演壇席からしたいと思います。よろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
◎知事(中村法道君) 〔登壇〕溝口議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、平成30年度当初予算について、どういった思いで編成したのかとのお尋ねでございます。
 平成30年度当初予算の編成に当たっては、「人に生きがいを」、「産業に活力を」、「暮らしに潤いを」の3つの基本姿勢を持って、これまでの取組をさらに一歩前進させ、具体的な成果として県民の皆様方にお示しすることができるよう、施策を推進してまいりたいと考えております。
 まず、「人に生きがいを」与えるため、地域や産業の担い手不足が深刻化する中で、女性や高齢者、障害者の方々をはじめ、誰もが生きがいを持って活躍できる地域社会づくり、安心して結婚・出産・子育てができる環境づくり、高度専門人材等、これからの本県を支えていくことができる人材育成を進めてまいりたいと考えております。
 次に、「産業に活力を」与えるため、各分野において地域ごとに共通の目標を定め、商工団体、水産団体、農業団体等との連携を深めながら、地場産業の活性化を図るとともに、ロボット、IoT関連産業など、地域を牽引する新たな産業の創出にも力を注いでまいりますほか、魅力ある観光メニューの創出など、観光消費額の拡大について積極的に取り組んでまいります。
 また、「暮らしに潤いを」与えるため、地域の特徴や個性を活かしつつ、有人国境離島法関係の交付金等を活用した離島地域の振興や、安全・安心の暮らしづくりに関する施策を展開してまいります。
 一方、選挙期間中に訴えてまいりました事項の中で、「健康長寿日本一の県づくり」や「外国人材の活用促進」、「ベンチャー育成・支援拠点の整備」など、現状の分析や、市町、ほかの機関との調整等に時間を要することから、当初予算に盛り込んでいない施策については、できるだけ早い時期に補正予算として提案し、既存事業との相乗効果により、さらに力強い政策パッケージとなるよう検討を重ねてまいりたいと考えております。
 今後、4年間においても、地域活力の向上や県政活性化のために力を注ぎ、人口減少をはじめとした本県の長年にわたる課題に正面から向き合いながら、県民の皆様の思いや夢をかたちにできるよう、全力を尽くしてまいります。
 次に、人口減少に歯止めをかけていくために、3期目でどのような取組に力を入れていこうと考えているのかとのお尋ねであります。
 人口減少対策については、これまでも県政の最重要課題と捉え、各分野における産業の活性化と良質な雇用の場の創出、UIターン対策、結婚・出産・子育て支援をはじめとする少子化対策等の推進に全力を注いでまいりました。
 しかしながら、全国的に人口減少が進み、地域間競争が激しくなる中、いまだ人口減少に歯止めをかけるまでには至っておらず、さらに対策を強化しなければならないさまざまな課題が残されております。
 こうした課題は、いずれも県の力のみでは解決できないものばかりであり、これからの4年間、これまで以上に、市町をはじめとする行政や企業、教育機関、関係団体等の皆様と危機意識の共有を図り、お互いの知恵を持ち寄りながら、総力を結集して取り組んでまいりたいと考えております。
 新年度においては、社会減対策として、引き続き地場産業の振興や、企業誘致等による良質な雇用の場の創出に努めてまいりますとともに、産業や地域活動の担い手となる若者の県内定着促進に重点を置くこととし、学生と企業が身近に情報交換できる交流会の実施や、企業が「Nなび」を活用して学生に直接アプローチできる仕組みの構築、本県出身者が多い福岡県や、子育て世代をターゲットとした移住施策の充実等に取り組んでまいりますほか、社会減に改善が見えつつある国境離島地域における定住対策等を積極的に講じてまいります。
 一方、自然減対策としては、誰もが希望する結婚ができ、安心して妊娠・出産・子育てができる環境を整備するため、市町における新たな少子化対策の企画・立案を支援するとともに、未婚率の改善に向けた結婚支援策の強化や、長崎大学病院の総合周産期母子医療センター整備に対する支援など周産期医療体制の充実、待機児童解消のための保育の受け皿と担い手の確保など、各段階に応じた切れ目ない支援を展開してまいります。
 引き続き、社会減対策と自然減対策の両面から、強力に施策を推進し、人口減少の抑制に向け、全力を尽くしてまいります。
 次に、これまでの製造業誘致の取組を振り返って、どのように評価しているのかとのお尋ねであります。
 製造業は、地域経済に広く波及効果があるほか、工業高校生や理工系大学生を県内にとどめる効果も期待できることから、積極的に誘致を進めております。
 平成22年度以降、製造業の誘致件数は27社、雇用計画数は1,142人となっております。
 先進的な加工技術を持つ企業や、産業用機械で世界有数の企業など、付加価値の高い製造業の誘致により、本県産業構造の多様化に寄与しているものと考えております。
 また、ウエストテクノ佐世保では、自動車関連の誘致企業2社が立地し、UIターンや新卒者等360名の方が雇用されており、良質な雇用も創出されております。
 引き続き、市町や産業振興財団と一体となって製造業の誘致を進め、県民所得の向上を図ってまいりたいと考えております。
 次に、どのような産業分野の製造業を誘致しようとしているのかとのお尋ねであります。
 製造業の誘致については、これまでの自動車関連や産業用機械に加えて、第4次産業革命の進展で市場が拡大するロボット、IoT関連、すそ野が広い航空機関連が今後の成長と地場産業への波及効果が見込まれる分野ではなかろうかと考えております。
 これらの分野での高度人材育成や地場企業のサプライチェーン強化にも積極的に取り組み、基幹産業となり得る産業の誘致、育成を図ってまいりたいと考えております。
 次に、九州新幹線西九州ルート、フル規格の実現に向けてどのように取り組んでいこうとしているのかとのお尋ねであります。
 本県といたしましては、現在整備中の武雄温泉〜長崎間のインフラを十分活用でき、最大限の効果が期待できるフル規格による整備が最善の選択肢であると考えております。
 そのため、国土交通大臣や与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム座長、九州新幹線西九州ルート検討委員会委員長等に対して、県議会及び経済団体等の皆様とともに、フル規格による整備の要請を重ねて行っているところであります。
 現在、西九州ルートの整備のあり方については、国土交通省において、整備方策ごとに、多面的かつ定量的な比較検討作業が行われており、今月末をめどに、西九州ルート検討委員会に報告されることとなっております。
 県としては、この検討結果を見極めつつ、本県の考え方を改めて整理し、本県選出国会議員の皆様方のお力添えを賜りながら、国に対して、フル規格による整備の必要性を引き続きしっかりと訴えてまいりたいと考えております。
 また、佐賀県の地元負担が大きな問題であり、佐賀県との協議が必要だと思うが、どのように取り組んでいくのかとのお尋ねであります。
 フル規格による整備の実現に向けては、佐賀県のご理解が不可欠であり、これまでも機会を捉えて佐賀県とも意見を交わしておりますが、「フル規格による整備は現実的ではなく、国における今後の議論を見守る」という姿勢であり、本県との隔たりは大きいものがあります。
 一方、フル規格による整備のためには、佐賀県における多額の財政負担という大きな課題があることから、去る2月22日には、本県から政府・与党に対し、「整備新幹線建設に伴う地方公共団体の建設費負担の軽減のための制度充実」についても要望したところであります。
 県としては、このような取組とあわせ、現在、取りまとめを行っている経済波及効果額の推計等をもとに、佐賀県をはじめ、関係自治体の理解が深まるよう、引き続き、意見を交わしてまいりたいと考えております。
 次に、石木ダムの建設推進についてのお尋ねでございます。
 石木ダムの建設は、川棚川の抜本的な治水対策と佐世保市の慢性的な水源不足解消のために必要不可欠な事業であります。
 付け替え県道工事については、事業に反対する方々による現場内での妨害行為が依然として続いております。
 このため、職員の応援体制を強化して、安全を確保しながら、大規模な盛り土工事を進めているところであり、今年度中には工事延長約220メートル、最大約12メートルの高さまで道路部分の盛り土を進める予定としております。
 付け替え県道工事を着実に進め、できるだけ早い時期にダム本体工事に着手のめどがつけられるよう、引き続き取り組んでまいりますとともに、事業に反対されている地権者の方々からご協力が得られるよう努力してまいります。
 今後とも、佐世保市及び川棚町と一体となって事業の推進に全力を注いでまいります。
 次に、県庁舎跡地の活用、特に、文化芸術ホールの整備について、どう考えているのかとのお尋ねでございます。
 県庁舎跡地の活用策としてお示しした3つ方向性のうちの1つであります「質の高い文化芸術ホール」につきましては、県議会から昨年2月にいただいた意見書を踏まえ、長崎市が整備を検討しているMICE施設のホールとの機能重複に関する調整を確実に行う必要があることから、長崎市並びに市議会の検討状況を注視してまいりました。
 そうした中、長崎市においては、MICE施設の整備運営を行う優先交渉権者の構成企業の1社が参加資格要件を欠くこととなったため、平成30年2月定例市議会でのMICE関連議案の提出を見送り、後継企業が決まった段階で、関連議案を審議したうえで、開業スケジュールを変えることなく進めたいとの考えを示されました。
 県としては、できる限り速やかに県庁跡地活用の整備に関する方針をお示ししたいとの思いはありますが、県議会の意見書も踏まえ、現段階では、引き続き、長崎市並びに市議会における議論の動向を注視する必要があることから、それらの動向を見極めたうえで、適切な時期に今後の方向性を判断してまいりたいと考えております。
 次に、今後の財政運営について、今後どのように基金取り崩しに頼らない財政運営を目指していくのかとのお尋ねであります。
 基金取り崩しに頼らない財政運営とは、当初予算段階では財源が見えない状況にあることから、一定額の基金は財源として見込みつつ、最終的な決算段階で基金を取り崩さないような財政運営を目指していくことであります。
 そのため、当初予算における取り崩し額をできる限り圧縮することが重要であると考えており、平成30年度当初予算においても、行財政改革推進プランの取組をさらに強化するとともに、財政構造改革のための総点検による見直しを進めるなど、財政健全化について積極的に取り組んだところであります。
 その結果、財源調整のための基金について、平成29年度当初予算と比較すると、取り崩し額を19億円少ない180億円にまで圧縮するとともに、編成後の残高を5億円多い14億円確保していることから、一定の改善は図られたものと考えております。
 しかしながら、なお多額の基金取り崩しによる当初予算編成を余儀なくされていること、また、平成30年度決算段階においても、一定の取り崩しが見込まれていることを考慮すると、依然として大変厳しい財政状況にあるものと認識しております。
 したがいまして、引き続き、歳入確保及び歳出削減の両面から、財政健全化に向けた取組を一層強化するとともに、国に対して、地方の実情を踏まえた地方交付税財源の充実・強化を強く求め、まずは平成33年度までに、決算段階における基金取り崩しゼロを目指して、適切な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
 次に、地元金融機関の経営統合について、どのように考えているのかとのお尋ねであります。
 今回の選挙期間中、県内各地を回り、高齢化や人口減少が一層進んでいることを肌身で感じてまいりました。
 このままでは、地域のさまざまな生活関連サービスや商業機能などが維持できるかどうか、不安に感じることもあったところであります。
 銀行を取り巻く環境が厳しさを増す中で、業績が悪化すれば、店舗、金融サービスの維持が困難になる可能性もあり、住民の方々の生活が不便になるとともに、地域経済の衰退にもつながりかねない要素があるものと考えております。
 そういう意味で、銀行には、経営の効率化と経営基盤の強化を図り、住民生活や地域経済をサポートしていただくことが必要であり、今回の経営統合については、前向きに捉えているところであります。
 次に、本県へのIR誘致に対しての思いについて、お尋ねであります。
 議員ご指摘のとおり、IRの導入は、地域経済に大きなインパクトをもたらし、交流人口の拡大のほか、新たな雇用創出や定住人口の増加が見込まれるものであり、県勢浮揚のチャンスと考えております。
 IRについては、平成26年3月の県議会本会議において、誘致推進を表明し、以来、誘致活動を積極的に推進してきたところであります。
 このような中、先月14日には、超党派の国会議員によるIR議連総会に出席し、「地方創生の観点からの地方都市へのIR導入」について、強く訴えてまいりました。
 現在、いわゆるゴールデンルートに集中している訪日観光客の動きに変化をもたらすためには、インバウンド客を直接地方に招き入れることが重要であると考えております。
 そのためにも、古くから海外との交流の窓口として発展してきた歴史や、東アジアとの深いゆかりといった本県の優位性を活かして、IRという玄関口を設けることが必要であると考えており、本県から全国への新たな人の流れを生み出すことで、国際競争力の高い滞在型の観光を実現し、地方創生を成し遂げたいとの決意でおります。
 今後とも、あらゆる機会を捉え、政府や国会に対する強力な働きかけを行うなど、IR実現を目指し、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 そのほかのお尋ねにつきましては、関係部局長からお答えをさせていただきます。
◎文化観光国際部長(松川久和君) 「潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録を確実なものとするため、政府やイコモスなどへ、どのような働きかけを行っていくのかとのお尋ねでございます。
 「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の世界遺産登録に向けては、これまで国への要望はもとより、本県とゆかりのある国々等に対し、機会あるごとに支援のお願いを行ってまいりました。
 特に、バチカン市国に対しましては、県議会の皆様のお力添えも賜りながら、支援のお願いを継続して行い、登録を支援する旨の力強い書簡もいただいております。
 一方、審査機関であるイコモスやユネスコに対しましては、推薦国という立場上、直接的な働きかけは控えるべきものとされております。
 しかしながら、多くの国々に資産の価値を理解していただき、応援していただくことは、登録及びその後の誘客にも有効でありますので、引き続き、あらゆる機会を捉えて価値の発信に努めるとともに、国の指導のもと、関係者一丸となって登録に向けて万全を期してまいります。
◎土木部長(岩見洋一君) 佐世保港の浦頭岸壁の整備に関し、浦頭交差点から西海パールライン入口交差点間の道路整備についてのお尋ねがございました。
 佐世保市においては、浦頭地区に国際クルーズ拠点の整備が、平成32年4月の供用を目指して進められておりますが、供用時には観光バスが集中することによる国道202号の混雑が予想されています。
 このため、国道の浦頭交差点から西海パールライン入口交差点間において、4車線化事業に着手したところであり、特に、混雑の原因となる浦頭交差点については、地元の協力を得ながら、平成32年の国際クルーズ拠点の供用に合わせた整備を行ってまいります。
◎農林部長(加藤兼仁君) 本県の農業生産を拡大し、農業所得の向上を図っていくうえで、どのような施策に取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。
 本県農業の課題を解決し、さらに発展させるためには、徹底して収益性の向上と経営規模の拡大を進め、もうかる農業を構築し、次世代につなげていく必要があると考えております。
 具体的には、収益性の向上を図るため、施設園芸においては環境制御技術の本格導入による単収向上対策や、ハウス等にかかるコスト縮減対策に取り組みますとともに、露地野菜においては、農地中間管理事業を活用した基盤整備や機械化一貫体系の導入を一層推進してまいります。
 併せて、フィールドサーバなどの新技術を開発、改良、実証し、農業の技術革新によるさらなる生産性の向上を推進してまいります。
 また、経営規模の拡大を図りますため、畜産クラスター事業を活用した肉用牛の増頭対策や、労力支援体制の強化と集出荷施設の整備などの分業体制の構築、さらなる経営力の強化を図り、家族型経営から雇用型経営への転換と新規就農者の確保を図ってまいります。
 併せまして、農業の成長産業化策として、県内農産物を活用した食品加工の試作や新商品の開発・改良の支援拠点となる食品加工センターを新たに整備しますとともに、輸出を含めた販路拡大対策に取り組んでまいります。
◎水産部長(坂本清一君) クロマグロをめぐる情勢に対しまして、どのように取り組んでいくのかとのお尋ねでございますが、県では、北海道の先捕りにより、漁獲枠を残した中で、国より操業自粛を求められることにつきましては、漁業経営に大きな影響を及ぼすことから、水産庁を招聘しまして、2月に県内3地区で説明会を開催しております。
 漁業者からは、「枠まで漁獲させてほしい」、「捕り得とならないような制度とすべき」などの意見が出された一方、水産庁からは、「国際ルールの中で、2年連続して全国枠を超過すれば、日本の漁獲枠が減る可能性があり、我慢してほしい」、「捕り得とならない制度を検討する」などの回答がありました。
 県といたしましては、漁獲枠の維持のため、操業自粛に協力をお願いしているところではございますが、国に対しまして、捕り得とならないような制度への見直しや、小型魚の放流作業への支援の拡大、他の漁法への転換など、規制で影響を受ける漁業者への支援の充実を求めてきたところであり、引き続き、こうした措置を強く国に要請してまいります。
◆39番(溝口芙美雄君) 県民所得向上について、質問させていただきます。
 先ほど、知事としては、新しい分野の中でロボット、IoT関連の産業を誘致していきたいというそういう考えでございますけれども、そのことによって、長崎県の地場産業は、いろんな仕事を与えていただいて、それで仕事ができてくるのではないかと思っておりますけれども、やはり製造業を誘致するのには、先ほどウエストテクノ佐世保の問題も出ましたけれども、やはり広大な20ヘクタール近くの工業団地が整備されたということで自動車産業がこれたのでないかと私は思っております。
 そのような意味においては、やはり製造業を誘致するためには、そして、大規模な雇用拡大ができるような、そういう企業を誘致するためには、やはり波佐見にできたキヤノンのような、ああいう大規模の工業団地が必要じゃないかと私は思っているんですね。だから、新分野に対する部分と、今、日本全国に散らばっている大きな企業を誘致するための努力をしていかないといけないのではないかと私は思っておりますが、県として、この大規模な工業団地を、ぜひ県主導でやっていただきたいと思いますが、このことについての考え方をお尋ねいたします。
◎知事(中村法道君) 工業団地の重要性については、ご指摘のとおりであります。
 具体的な工業団地の整備に当たりましては、その企業の立地によって最も受益があります地元市町が主体となって、県が補助金等でこれを支援するというスキームのもと、県も主体的な役割を担いながら、検討段階から市町と連携して取組を進めてきているところであります。
 そういった考え方のもと、現在、内陸型工業団地について、大村市でありますとか、諫早市においても大規模な工業団地の整備に着手されようとしているところでありまして、これからも、県も主体的な役割を担いながら、十分その責任を果たしてまいりたいと考えているところであります。
◆39番(溝口芙美雄君) 市とか町が主体的にやって、それを県の方が補助的にやっていくというそういう考え方のようでございますけれども、私は、やはり県が主導型になって、県内何カ所もということではなくて、やはり県の方として4年間の間とか、3年間の間には、やはり県が主導して大きな工業団地の場所を見つけて、県が主体的になって、市町が反対に補助的に加わるという、そういう形がいいのではないかと私は思っておりますし、県がこの工業団地誘致に対して少し消極的な気持ちがするわけですね。八江議長も、多分このことについては、しっかりと県が主導権を持ってやっていきなさいという、そういう意見が出たと思いますので、そのことについて、改めて質問させていただきたいと思います。
◎知事(中村法道君) 県は、決して消極的なつもりはないとろでありまして、全国のこの団地造成の現状等を見ましても、市や町が事業主体になって、県がこれをサポートすると、あるいはサポートがない県もありますけれども、そういう形で大半の県が事業を進められているところであります。
 そういった中、やはりご指摘のように、次の工業団地の整備可能性等については、十分県も主体的な役割を担いながら、適地の調査等に力を注いでいく必要があるものと考えておりまして、これからもそういった姿勢で臨んでまいりたいと考えております。
◆39番(溝口芙美雄君) わかりました。市町がということもありますけれども、やはり大規模な30ヘクタールとか、それ以上の工業団地を造成していくということになれば、やはり県の方が、どこにそういう適地があるのかというのを主導的に調査していただいて、市町と一緒になってやっていただきたいと思いますので、ぜひ県の方が主導権を持ってやっていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
 次に、石木ダムの建設推進についてですけれども、なかなか、先ほど言われるように反対者の皆さん方の理解を得ることが大変厳しい状況の中ではありますけれども、私としては、知事の任期中には、当然のことながら、現在の手続が進められている収用委員会の裁決がなされ、裁判についても一定の決着を見るのではないかと思っております。
 今後における地権者の方々の対応など、あらゆることを考えながら、引き続き事業を進めていく必要があると思いますが、先ほど話しましたように、石木ダムは、災害への県民のリスク管理上、そして、何より県北地域の将来の発展にとって必要不可欠なダムであります。知事は、この3期目に入られたところでありますので、何とかこの事業を、本体工事の推進をめどにしていただきたいと思いますが、知事の考え方をお願いいたします。
◎知事(中村法道君) 石木ダムの建設は、先ほどもお答えで申し上げましたとおり、地域の安全・安心を確保するためには必要不可欠なダムであると考えているところであり、現在、土地収用の手続を進め、工事についても全力で取り組んでいるところであります。
 今後とも、県民の皆様方からいただいた負託に応えることができるように、工事の進捗に努め、また、ダムの早期完成に向けて、最大限努力してまいりたいと考えております。
◆39番(溝口芙美雄君) ぜひ、3期目のうちに、本体工事までこぎつけていただけるように努力をしていただくよう要望しておきたいと思います。
 県庁舎跡地については、後ほど、浅田議員の方から詳細についての質問があると思いますが、私も、前回、昨年2月に質問をさせていただきました。そのことについて、もう1年経っておりますので、解決していくのではないか、先に進んでいくのではないかというそういう期待感を持っておりましたが、この長い期間にかけていろいろな施策は話し合ってきたと思いますので、そのことについて、一日も早く、ぜひ検討段階に入って決定をしていただきたいと、このことは要望しておきたいと思っております。
 世界遺産登録の推進については、先ほど、それぞれ答弁がありましたけれども、私たち県議会議員としては、やはりローマの方に2回も3回も知事の親書等を持って行った者としては、ぜひ早い段階で世界遺産になってほしいと願っておりましたけれども、やはり前回、イコモスの方の厳しい指摘があって、どうしても取り下げざるを得なかったという形になっております。今回は、イコモスの指導も受けながら推薦状を提出しておりますので、ぜひこの登録に向けて、ひるむことのない努力をしていただきたいと私は思っております。
 また、世界遺産になってからも、今、世界遺産になる前ですけれども、観光客等も関連遺産について、それぞれ見学とか、いろんな形で少しずつ増えてきていると思うんですけれども、その観光客は、登録前後は一定以上ぱっと増えると思うんですよね。でも、増えた段階で、また今度はそれが一過性に終わって、なかなか増えてこないというそういう世界遺産登録があった県もあるかと思いますので、そのことについては一過性にならないような形でぜひ、各地域に点在しておりますので、効率的な周遊をしていただけるようなことが必要ではないかと思っております。
 そういう意味では、構成資産をめぐるモデルコースを設定する必要があると思いますが、そのことについて、県としてどのように取り組んでいるのか、お尋ねします。
◎文化観光国際部長(松川久和君) 県では、これまで世界遺産候補の構成資産の周遊対策として、県観光ホームページ「ながさき旅ネット」上でのモデルコースの紹介や、旅行雑誌との連携による公共交通機関を利用した旅行プランの提案など、各種情報発信に努めてまいりました。
 また、今年度は、地元事業者等で設立されました「長崎めぐり旅ビューロー」と連携し、構成資産などを巡る個人客向けの現地ツアーを開発したほか、来年度は構成資産のみならず、田平天主堂や日野江城跡などの関連遺産と周辺の観光地や食などの情報を紹介する「世界遺産めぐり手帖(仮称)」を制作・販売するとともに、ミッション系の学校、大学に対する修学旅行やゼミ旅行の誘致にも新たに取り組むこととしております。
 併せて、県内各地においては、登録により増加が見込まれる観光客の消費を取り込むため、地元ならではの食や土産品の充実、ガイドの育成、二次交通の整備など、受け入れ体制の整備に官民一体となって取り組んでいるところでございます。
 今後も、世界遺産登録効果を県内に広く波及させるため、周遊滞在型観光の促進に努めてまいります。
◆39番(溝口芙美雄君) ありがとうございました。ただ、世界遺産については、構成資産から外れた、先ほど言われた田平天主堂等それぞれありますけれども、後ほど小林議員が「大村純忠」の話をするということでございますので、そこら辺についても、やはり構成資産というより関連資産として、そこら辺まで行けるようなそういうことを厳しく質問するのではないかと思っておりますので、ぜひそれも含めて検討していただきたいと思っております。
 それから、もう時間がありませんけれども、太平洋クロマグロの資源管理の件です。本当に漁業者の皆さん方は大変苦慮しておりまして、長崎県漁業協同組合連合会からと長崎県海区漁協長会会長会から平成29年12月、去年の12月に要望書が挙がっているんですけれども、本当大変な状況なんですね。そういう意味を含めて、やはりクロマグロの捕獲をできるだけ、長崎県は先ほど言いましたように全国一ですから、捕れるような形を、漁獲量を増やしていただきたいと思っております。
 そのような意味では、知事は今度、選挙期間中に各地を回ったと思いますけれども、それぞれマグロ規制に対する漁民の声を直接聞いてきたのではないかと思っているんですね。そのことについて、知事も大変苦慮してきたんじゃないかと思いますけれども、この問題に対する知事の考え方をお尋ねいたしたいと思います。
◎知事(中村法道君) 私も今回の選挙を通して、漁業者の皆様方ともお話をさせていただきましたけれども、非常に切実なお声をお聞かせいただきました。漁獲枠を守るために大変なご苦労もなさっておられる状況にあるものと理解をいたしております。
 こうした水産資源の管理というのは、関係する全ての漁業者がこれをしっかり守っていくということが大前提になるものと考えているところであります。
 国においては、先に捕った者が得をするというような不公平な現状については、何としてもやはり見直しをしていただきたい。そしてまた、漁業者の方々への影響をやわらげるためのさらなる支援措置を講じていただきたいと考えているところであります。