平成28年  9月定例会 農水経済委員会 - 09月28日−04号
【補正予算についての質問】
◆溝口委員 補正予算の1億8,885万円ですけれども、一応箇所づけとしては、ほか32カ所ということですので33カ所になるんですか。災害があったのは何カ所で、その全てがこれに当てはまったのかどうか、その辺についてお尋ねしたいと思います。
◎内田森林整備室長 今回の集中豪雨で発生しました箇所のうち、2カ所が崩石土を取るぐらいの自力復旧で済んでおりまして、そのほかは全部この自然災害防止で対応する予定でございます。
◆溝口委員 災害があってから、すぐできたというのは、皆さん方の努力があったのかなという感じがしますけれども、そのできなかった2カ所については、何か問題があったんですか。
◎内田森林整備室長 崩れた土砂を取るだけで安定した状態に戻るということで、特に復旧工事の必要がないという判断をしたところでございます。
◎加藤農林部長 はじめに、議案についてご説明いたします。
 「農水経済委員会関係議案説明資料」の「農林部」1ページ目をお開きください。
 今回、ご審議をお願いいたしておりますのは、第122号議案「長崎県営土地改良事業分担金徴収条例の一部を改正する条例」であり、その内容は記載のとおりであります。
 続きまして、議案外の主な所管事項についてご説明いたします。
 「農水経済委員会関係議案説明資料」及び同資料追加2の「農林部」をご覧ください。
 今回、ご報告いたしますのは、肉用牛の飼養頭数の増加について、長崎ちゃん麦を使用したちゃんぽん麺の一般販売開始について、諫早湾干拓事業の開門問題について、諫早湾干拓農地の利用権設定等について、長崎農林業大賞について、農業分野における外国人材受け入れのための国家戦略特区の提案について、ながさき森林環境税についてであります。
 そのうち、主な事項についてご報告いたします。
 まず、「農水経済委員会関係議案説明資料」の「農林部」1ページ目をお開きください。
 肉用牛の飼養頭数の増加についてであります。
 本県における肉用牛の飼養頭数は、高齢化や担い手不足などを背景に、小規模農家を中心に経営中止が続いており、平成22年の9万1,200頭をピークに減少傾向で推移していましたが、去る7月5日公表の平成28年2月1日現在の農林水産省畜産統計によると、前年の7万5,200頭から1,000頭増加して7万6,200頭となりました。このうち、繁殖用雌牛は、800頭増加して2万6,600頭となり、都道府県別では全国第7位と、昨年の8位から1ランク順位を上げたところであります。
 県といたしましては、地域の関係機関と中心的経営体で構成する畜産クラスター協議会を中心に、新規就農者の確保・育成、キャトルステーションやヘルパー組織の立ち上げによる分業化の推進、牛舎整備や家畜導入支援など、さらなる生産基盤の強化と畜産農家の所得向上に努めてまいります。
 次に、同じく「農林部」1ページ目をお開きください。
 長崎ちゃん麦を使用したちゃんぽん、ちゃんぽん麺の一般販売開始についてであります。
 本県が国との共同研究により、長崎ちゃんぽん用として育成し、平成25年に品種登録を出願しました硬質小麦、長崎W2号につきましては、生産関係者、製粉業者、製麺業者等で組織する「長崎県育成麦活用開発協議会」を設立し、国のコンソーシアム支援事業を活用しながら、生産拡大、品質向上、製粉試験、製麺試験を実施してまいりました。
 その結果、作付面積は徐々に拡大し、平成27年産の作付面積は35ヘクタール、生産量は88トンとなっております。また、製粉方法と製麺技術も改良を重ね、ちゃんぽん麺の品質も商品化できるレベルに達しています。
 さらに、長崎W2号を使用したちゃんぽん及びちゃんぽん麺のPR、ブランド化を図るため、全国より愛称を募集し、応募のあった753作品の中から、「長崎ちゃん麦」を選考した上で、本年6月に商標権を取得いたしました。現在、長崎ちゃん麦の一般販売開始に向けて、製麺業者と連携して準備を進めているところであり、併せて関係機関と連携しながら、いち早く周年供給が可能となるよう生産量の拡大を図ってまいります。
 次に、同じく「農水経済委員会関係議案説明資料(追加2)」の「農林部」1ページ目をお開きください。
 諫早湾干拓事業の開門問題についてであります。
 去る8月25日、新たに就任されました山本農林水産大臣に対し、就任のご挨拶と併せ、知事から諫早湾干拓事業の開門問題について、営農、漁業の状況を説明するとともに、真の有明海再生につながる積極的な取組を進めていただきたいこと、関連訴訟において開門の意義そのもの、即ち開門しても有明海の漁場環境の改善につながらないということなどをしっかりと主張、立証し、開門しない方向で裁判所の判断を得ていただきたいことなどを要望いたしました。
 これに対し、大臣からは、「和解協議と国の基金について、精いっぱい努力をしてまいりたい。長崎県におかれても、なお一層の農林水産省への理解と協力を賜りたい」との回答がありました。
 その後、去る8月27日、山本大臣が来県され、諫早湾干拓事業にかかる現地視察及び長崎県関係者との意見交換が行われました。
 諫早湾干拓堤防管理事務所では、県選出国会議員に同席いただいた中で、知事から、諫早湾干拓事業の経緯及び現状、開門問題の経緯、環境アセス結果等を踏まえた開門の意義等を説明した上で、開門しない方向でしっかりと開門問題に取り組んでいただきたいこと、関連訴訟において、開門の意義そのもの、即ち開門しても有明海の漁場環境の改善につながらないということなどをしっかりと主張、立証し、開門しない方向で裁判所の判断を得ていただきたいこと、本年1月に長崎地裁から出された開門しないことを前提とした和解勧告に基づいて、真の有明海再生につながる積極的な取組を進めていただきたいことを強く要望し、現地視察が行われました。
 現地視察後の意見交換会では、地元住民、農業者、漁業者、さらには諫早・雲仙両市長、県議会議長から、「諫早湾干拓事業によって非常に安全・安心した生活、営農が続けられるようになった」、「開門しない方向で問題を解決していただきたい」などの意見が直接大臣に伝えられるとともに、知事から、「開門問題を避けて通ることができるように、そして、真の有明海再生につながるような取組に結びつくように、さらなる尽力をお願いしたい」と強く訴えました。
 これに対して、大臣からは、「今後とも、関係者の方々の意見を伺いながら、より良い形で問題の解決に至れるように努力してまいりたい」との回答がありました。
 続きまして、潮受堤防排水門開門差止請求事件については、長崎地方裁判所において、昨年10月6日結審し、その後、今年1月18日には、「開門によることなく、有明海全体の漁業環境を改善する方策を検討し、全体の解決を図るべき」とする和解協議の勧告が出され、これまで8回の協議が行われました。
 去る6日に行われた第9回目の協議において、国は、有明海漁場環境改善連絡協議会で基金案の内容を協議し、10月中に取りまとめる方針を示したことから、長崎地裁は、「和解協議を継続する」との発言があったと伺っております。
 県といたしましては、開門することなく、有明海再生を目指していただきたいと繰り返し国に対して要請してまいりましたが、今般の和解協議を契機として、真の有明海再生につながるような具体的な成果が得られるよう期待しているところであります。
 このほか、訴訟の関係につきましては、2ページ目下段の方に記載のとおりであります。
 3ページ目の2行目をご覧いただきたいと思います。
 県といたしましては、開門により、地元の方々に被害が及ぶことが決してないよう、引き続き県議会や関係者の皆様とともに適切に対処してまいります。
 その他の事項の内容につきましては、記載のとおりであります。
 また、第122号議案「長崎県営土地改良事業分担金徴収条例の一部を改正する条例」及び議案外所管事項、ながさき森林環境税については、補足説明資料を配付させていただいております。
 よろしくご審議を賜りますようお願いいたします。
◎松本農村整備課長 私から補足の説明をさせていただきます。お配りしております平成28年9月定例県議会農水経済委員会補足説明資料、「長崎県営土地改良事業分担金徴収条例の一部を改正する条例」をご覧ください。
 1ページ目をご覧ください。
 今回の条例改正は、平成28年度から畑地帯総合農地整備事業「担い手育成型」のうち、内地6法指定地域の国庫補助率が50%から55%に、離島地域の国庫補助率が52%から55%にそれぞれ変更されたことにより、地元分担金の率を改正しようとするものでございます。
 説明資料の2、負担率変更(案)に現行及び改正案にかかるそれぞれの負担割合を記載しております。
 負担割合の見直しの考え方につきましては、内地6法指定地域におきましては、国庫補助率が5%増額されたことに伴い、県と地元で2.5%ずつ折半を行うこととしております。
 離島地域におきましては、従来の県負担の離島地域33%と内地地域30%の差3%を維持するものとし、県負担率は内地6法指定地域の27.5%に対し、離島地域を30.5%とすることとしております。
 なお、地元負担のうち、農家負担につきましては、市町により負担率が異なりますが、担い手への農地集積状況に応じて、別途促進費を活用することができ、これにより、農家負担を大幅に軽減することができるようになっております。
 よろしくご審議のほど、お願いします。
◆溝口委員 内地6法指定地域の国庫補助率は55%で、地元負担はそれぞれ折半で少なくしたということですけれども、離島地域の場合、3%増えたのを、県の方は2.5%引いて、地元が0.5%になったのは、どういう話し合いをしたのか、県の方が自分たちでそういう分け方をしたのか、この辺についてお尋ねしたいと思います。
◎松本農村整備課長 離島につきましては、今実施しているところが五島市だけでございます。五島の方は、残りの15%につきまして、市が10%、地元が5%という負担割合で、今、実施しております。その中で、地元5%につきましては、先ほど申しました促進費を活用することにより、可能な限り負担率の軽減ができますので、その分については見直しを行わないという考え方でございます。
 市につきましても、今、10%負担しておりますけれども、9%までは起債の対象になりますので、残りの1%について折半し、結果的に9.5%という対応にしております。
 もう一つは、先ほど申しましたとおり離島地域は33%と県の負担をもともと大きくしておりますので、その離島と内地の3%の差は確保するということで、2.5%の同率で県の負担を下げるということにしております。
 これについては、市と協議を行いまして、市の同意も受けております。
◆溝口委員 わかりました。市の方を0.5%引いて、地元は5%でそのまま負担をしていただくということになったということですけれども、市の方とは話し合いをしたかもわかりませんけれども、地元の5%の負担については何らかの形でくるんですか。最低5%は払ってもらわないといけないという決まりがあるのかどうか、その辺について伺います。
◎松本農村整備課長 地元負担5%については、将来、地元の方で払うということになりますけれども、その分については先ほど申しました促進費を事業負担金返還の時に、農地の集積率に応じて促進費が活用できます。集積率は、その地域ごとの努力、要するにどれだけ担い手にまとめて農地を集積していくかという努力の仕方によって、それは幾らでもではないけれども、確保できるところがありますので、可能な限り地元の努力によって地元負担が少なくなるということを考えて、土地改良区の方はそれで納得していただいております。
◆溝口委員 市の方も納得し、土地改良区の方も納得したということでございますので、それについてはもう質問はありません。
◎福田農政課長 「政策等決定過程の透明性等の確保及び県議会・議員との協議等の拡充に関する決議」に基づき、本委員会に提出いたしました農林部関係の資料について、ご説明いたします。お手元にお配りしております資料をご覧いただきますようお願いいたします。
 まず、補助金内示状況につきまして、本年5月から8月までの実績についてご説明いたします。
 直接補助金は1ページから16ページに記載のとおり、長崎県多面的機能支払交付金など計161件でございます。また、間接補助金は17ページから36ページに記載のとおり、新構造改善加速化支援事業補助金など計225件であり、両方を合わせますと386件でございます。
 次に、1,000万円以上の契約状況につきまして、本年5月から8月までの実績についてご説明いたします。
 委託につきましては、37ページに記載のとおり、委託が16件であり、38ページから52ページに、その入札結果一覧表を添付しております。また、工事につきましては、資料の53ページから57ページに記載のとおり、77件でございまして、58ページから176ページに、その入札結果一覧表を添付しております。なお、この委託と工事を合わせた全体件数は93件でございます。
 次に、陳情・要望に対する対応状況でございますが、知事及び部局長に対する陳情・要望のうち、県議会議長あてにも同様の要望が行われたものに関して177ページから206ページに県の対応を記載させていただいております。
 最後になりますが、附属機関等会議結果報告につきまして、本年5月から8月までの実績は長崎県森林審議会など2件でございまして、その内容につきましては208ページから209ページに記載のとおりでございます。
 以上でご説明を終わります。
◎佐藤林政課長 「平成28年9月定例県議会農水経済委員会補足説明資料 ながさき森林環境税について」について説明させていただきます。
 1枚めくっていただきますと、A4のカラー版の横になっていると思いますが、ながさき森林環境税についての基本的な考え方(案)の1ページをお開きください。
 森林環境税は、全ての県民は森林からさまざまな恩恵を受けていることから、森林整備にかかる費用の一部を県民の皆様に広く薄く負担していただき、森林を社会全体で支える新たな仕組みとして、平成19年度から創設いたしているものでございます。
 2ページをご覧ください。
 税を財源といたしました事業の構成ですけれども、未整備森林を対象に切り捨て間伐を行う未整備森林緊急整備など主に5つの事業を行っております。右の表は、平成24年から28年度までの5年間の事業規模でございます。右側下段の方に合計を記載しておりますけれども、事業総額は約27億2,000万円で、そのうち国庫補助金が7億6,000万円、森林環境税19億2,000万円の見込みとなってございます。
 3ページから4ページに5カ年間の事業進捗状況を記載いたしております。
 3ページの一番上の未整備森林緊急整備、その下の環境保全林緊急整備が未達成ということになっております。未整備森林緊急整備につきましては、木質バイオマスなどの需要が高まったことで、これまで切り捨て間伐により整備を行っていた未整備森林の区域においても、搬出間伐が行われてきたことから、切り捨て間伐による進捗率は91%にとどまっております。
 また、環境保全林緊急整備につきましても、森林所有者や境界の確定、測量等の調査に不測の時間と費用を要したため、進捗率は30%となっております。
 4ページの県民参加の森林づくりについてですけれども、税事業としての進捗は32%ということで未達成と書いておりますが、これは国が森林ボランティア団体等への支援を平成25年度から実施しておりまして、国の事業と合わせると、平成27年度までに215団体に取り組んでもらっておりまして、約3万4,000人の方が森林ボランティア活動に参加しているということでございます。
 このほか、林内路網緊急整備、しまの間伐促進、市町提案型のふるさとの森林づくりは、目標以上の実績見込みとなってございます。
 5ページをご覧ください。
 森林整備等事業の取組成果です。左上のグラフに間伐面積の推移がありますが、搬出間伐面積が増加しておりまして、先ほど述べましたとおり、搬出間伐による未整備森林の整備も進んでおります。
 搬出間伐に必要な路網の整備については、左下のグラフのとおり、森林環境税が導入され、路網延長の増加に伴って搬出間伐面積も税導入前に比べまして2倍、3倍と増加いたしております。
 右側に日本学術会議が試算した手法による森林の公益的機能評価額を示しておりますが、第2期で、第2期といいますのは平成24年度から28年度までの税事業の期間ということでございますが、1万1,000ヘクタールの森林整備が行われて、162億円の機能向上が図られたと考えております。
 6ページをご覧ください。
 県民参加の森林づくりの成果ですけれども、上のグラフのように、森林ボランティア活動につきましては、多くの団体が森林づくりに取り組み、森林保全に対する県民参加と理解の促進が図られたものと考えております。
 7ページをご覧ください。
 平成28年2月に県民アンケートを実施いたしましたが、その中でA番の森林の公益的機能の重要性を知っている方が7割おられるという結果が出ましたけれども、その一方で、H番目の森林環境税導入を知っている方は2割にとどまる結果となっております。I番、J番になりますけれども、森林環境税の取組を評価して、継続を希望されている方が7割という数字になっております。
 続きまして、8ページをご覧ください。
 環境重視の森林づくりの成果と課題ですけれども、左上の棒グラフのように、間伐を実施することで、整備された森林は年々増加しておりまして、下の方の円グラフにございますが、平成26年度末現在で53%に当たる約4万6,500ヘクタールが整備済み森林となっております。
 その円グラフで修正がございます。左側の未整備森林の中の内訳で、H33以降整備する森林が「4万6524ha」と書いてありますが、これは整備済み森林の数字が間違っております。この数字は「2万8,000ha」でございます。申しわけございませんが、訂正をお願いしたいと思います。
 今後は、残りの未整備森林4万1,500ヘクタールの計画的な整備が必要になっているところでございます。
 右側に課題を整理いたしておりますが、引き続き未整備森林の解消を進める必要があり、路網整備等によるコスト縮減が不可欠となっております。また、里山林の整備を推進するためにも、市町、地域住民との連携が必要になっております。今後とも、国庫補助等を活用しながら、ながさき森林環境税を継続して取り組んでいく必要があると考えております。
 9ページをご覧ください。
 県民参加の森林づくりの成果と課題につきましては、左上のグラフのとおり、森林ボランティア活動人数は増加しておりまして、今後は右側中段に記載しておりますが、森林ボランティアに対する継続的な支援や子どもたちへの森林学習、木育の実施、木とふれあう機会の創設など、継続して取り組む必要があると考えております。
 10ページをご覧ください。
 新たな施策の方向性でございますけれども、環境重視と県民参加の2つの視点からの施策を継続していく必要があると考えております。
 右端の方になりますけれども、方向性といたしましては、未整備森林の整備に加え、里山林、荒廃竹林の整備や県産材の利用の促進、子どもたちへの森林教育、情報発信、広報の強化等、重点的に取り組みを行いたいと考えております。
 今後、これらの考えにつきましては、県議会をはじめ、パブリックコメントを通じて県民の皆様のご意見を伺いながら、次年度以降の森林環境税の取扱いについて、方針を定めたいと考えているところでございます。
 以上で、ながさき森林環境税についての基本的な考えの説明を終わらせていただきます。
 よろしくご審議賜りますようお願いいたします。