平成16年  6月定例会 経済労働委員会 - 06月14日−01号

◆溝口副委員長 共通のICバスカードの件ですけれども、平成15年度で完全に340両にシステムができたということですけれども、カードを利用する人たちには便利になったと思うんですけれども、乗合収入が先ほど言ったように7%近く平成14年度より減ったということは、その便利さはできたけれども、せっかくつくったシステムのPRですか、利用していただく方々にどのような営業をしているのか、その辺について聞かせてください。
◎杉光営業部長 3カ年で整備し、当局におきましても340両につきましてICバスカードシステムを導入したわけでございますけれども、平成15年度の決算見込みの中で乗合収入に占めるバスカードの利用率が約10%でございます。平成13年度、平成14年度ということで平成15年度がまだ本格的に稼働していなかったということもございましたが、全部終わりましたので、今後、本格的な稼働に向けましてバスカードの普及拡大に努めたいと思っておりまして、5月末から6月にかけましてテレビ等におけるPRも行いましたし、ポスター、それからチラシ、そういう面も含めまして今掲示をいたしておりますし、これは県も含めてですけれども、沿線の自治体の方でもいろんな広報紙をお持ちでございます。そのような広報紙の中での掲載ということで、特に沿線自治体につきましては、私どもに補助金という形で支援をいただいております。補助金のそういう支援を少しでも減らすためにも乗っていただきたいという広報もしていただいておりますし、いろんな機会をとらえまして、今後ともPR活動をしていきたいと思っております。
◆溝口副委員長 平成13年度、平成14年度の2カ年で10%ということで、平成15年度は少し上がっているかもわかりませんけれども、この340車両にも相当のお金がかかっていると思うんですよ。だから、それを収入として取っていくぐらいの気持ちでPRして、ICカードを利用できる人たちを増やしていかなければおかしいのではないかなと私は思うんです。
 ただ、県だけではなくて長崎県に関係する6社がありますので、その6社の方々とよく話し合って、PRをぜひ積極的にやっていただきたいと思うんです。ただ広報紙なんかに掲載しただけではおそらく進んでいかないと思うんです。
 例えば学生さんなんかがいたら、利用する学生の方々には、特に全面的に学校にPRに行ったりしながら増やしていただきたいと思っております。そうしなければ7%近くの乗合収入が減っている中で、いろいろと今まであった資本的収入の部分も使って、過年度分損益勘定の保留金なんかも使っている中で営業努力が足りないんじゃないかなという気が少しするわけです。せっかくいいシステムができましたので、この営業活動をもう少しやっていただきたいと思っております。
 それから、先ほどの三菱ふそうの件ですけれども、いろいろな細分化については先ほど中田委員の方から言われましたけれども、購入先の販売会社等が何社あるのか伺います。
◎山口管理部長 出納の方の登録、三菱関係のディーラーさんとしては3社と伺っております。
◆溝口副委員長 この3社は、例えば三菱自動車しか扱ってはいけないという指定を三菱の方からされているのかどうか、その辺については確認はしていないですか。
◎山口管理部長 ディーラーさんの方とメーカーさんの方でどういう約束事があるかについては承知をいたしておりません。
◆溝口副委員長 それでは、その販売会社については責任はないということなんですけれども、最後の方の三菱自動車に関連する車両の購入はできないということは、会社が今まで県との取り引きの中で、その人たちには全然関係がないのに、今後仕事をしていく上で、販売会社がつぶれるような事態になってくるんじゃないかと思うんですけれども、やはり自動車を購入できませんので、例えば企業を続けていくための努力を今後お願いに来るかもわかりませんけれども、その辺については交通局としては全然関係なしということで、先ほど9カ月という指名回避の話が出ていましたけれども、その辺はどう考えているんですか。
◎安永交通局長 取り扱いの3社ですけれども、いずれも三菱自動車並びにそのまた関連会社等の資本系列の会社で、かなりのウエートが三菱からということを聞いておりますので、メーカーとディーラーとの関係につきましては、一般のディーラーと違って系列会社でございますので、多分、メーカーの方においてもそういう対策について検討がなされるのではないかなと思います。
 私どもは、今回、この会社に対しては9カ月の指名回避ということになりますので、その間については全く取り引きはしないという決定をしておりますので、この間における営業については、会社それぞれの営業方針を定めて何らかのことをやられると、私ども交通局としてお受けするようなことは、この9カ月は何もないと、そう思っております。
◆溝口副委員長 確認ですけれども、ある程度三菱関係からの出資ということでございますけれども、この3社とも50%以上の出資会社なんですか。
◎安永交通局長 出資の状況を私どもがお話ししていいのかどうかわかりませんけれども、私どもの調査では、副委員長が言われる50%以上は超えております。
◆溝口副委員長 50%以上の出資があるということであれば、先ほどメーカーは登録していないですけれども、この販売会社等の登録という形と聞きましたけれども、50%以上だったら、親元が直接出資者ですから、そしたらこの販売業者にも責任はないんですかね。
◎山口管理部長 一応、法人格としては別であろうかと思います。私どもは一般競争入札ということで、現に監督官庁から刑事告発を受けている会社の車両は購入しないとしておりますけれども、この辺の整理については、一たん総務省の方にも確認をした上で措置をとっております。
◎中本商工労働部長 商工労働部長の中本豊治でございます。よろしくお願い申し上げます。
 4月の人事異動に伴いまして商工労働部の理事者に変更がありましたので、改めまして幹部職員の紹介をさせていただきます。
     〔各幹部職員紹介〕
 以上でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
◎中本商工労働部長 商工労働部関係の議案についてご説明いたします。
 今回、ご審議をお願いいたしております議案は、第83号議案「長崎県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」のうち関係部分、第86号議案「長崎県地域産業開発基金条例の一部を改正する条例」、報告第1号「知事専決事項報告『平成15年度長崎県一般会計補正予算(第8号)』」のうち関係部分、報告第6号「知事専決事項報告『平成15年度長崎県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第2号)』」であります。
 はじめに、条例議案についてご説明いたします。
 第83号議案「長崎県の事務処理の特例に関する条例の一部を改正する条例」のうち関係部分につきましては、知事の権限に属する事務のうち、市町村が処理することとしている事務について、市町村合併により五島市、南松浦郡新上五島町が設置されることに伴い、所要の改正をしようとするものであります。
 第86号議案「長崎県地域産業開発基金条例の一部を改正する条例」につきましては、国の電源三法交付金制度の改正により、電源立地特別交付金制度等が廃止され新たに電源立地地域対策交付金制度が創設されて、事業内容の拡充が図られたことなどから、所要の改正をしようとするものであります。
 次に、平成16年2月定例県議会の本委員会において、専決処分により措置することについて、あらかじめご了承いただいておりました、報告第1号知事専決事項報告「平成15年度長崎県一般会計補正予算(第8号)」のうち商工労働部関係部分、及び報告第6号知事専決事項報告「平成15年度長崎県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第2号)」についてご説明いたします。
 一般会計では、(歳入)使用料及び手数料469万円の減、国庫支出金743万8,000円の減、財産収入1,643万8,000円の増、繰入金1億4,112万7,000円の減、諸収入5億1,653万1,000円の減、合計6億5,334万8,000円の減。(歳出)総務費127万8,000円の減、労働費2億4,300万7,000円の減、商工費11億390万5,000円の減、災害復旧費965万円の減、合計13億5,784万円の減を補正いたしております。
 小規模企業者等設備導入資金特別会計では、(歳入)繰入金283万5,000円の減、繰越金1億928万6,000円の減、諸収入1億4,174万8,000円の減、県債588万7,000円の減、合計2億5,975万6,000円の減。(歳出)商工費2億5,975万6,000円の減を補正いたしております。
 補正予算の主な内容についてご説明いたします。
□商工労働政策課
 中小企業振興費3,767万円の減は、小規模事業経営支援助成費の実績確定に伴う減等によるものであります。
 工鉱業振興費2,403万8,000円の減は、石油貯蔵施設等周辺地域整備費の実績確定に伴う減等によるものであります。
□商工金融課
 商業振興費1,415万1,000円の減は、中心市街地商業活性化事業の実績確定に伴う減等によるものであります。
 中小企業金融対策費7億6,341万9,000円の減は、不況対策貸付の貸付額確定に伴う減等によるものであります。
 小規模企業者等設備導入資金特別会計、小規模企業者等設備導入資金貸付費2億7,711万1,000円の減は、設備資金貸付の貸付額確定に伴う減等によるものであります。
 元利償還金1,735万5,000円の増は、高度化資金にかかる償還額の確定に伴う増によるものであります。
□産業振興課
 工鉱業振興費2億4,926万9,000円の減は、企業誘致促進ファンド整備貸付金の実績確定に伴う減等によるものであります。
□雇用労政課
 雇用安定対策費1億6,784万2,000円の減は、緊急地域雇用創出特別交付金事業の実績確定に伴う減等によるものであります。
□職業能力開発課
 職業能力開発運営費6,893万7,000円の減は、職業能力開発校費の実績確定に伴う減等によるものであります。
 次に、平成15年度一般会計補正予算のうち繰越明許費の補正についてご説明いたします。
□商工労働政策課
 ぼた山防護施設災害復旧対策費825万2,000円は、平成15年7月の集中豪雨により破損した世知原町の新高野炭鉱肥前ぼた山の防護施設復旧工事費で、地権者との調整に不測の日数を要したことによる繰越であります。
 次に、所管事項の主なものについてご報告いたします。
(全国の経済動向及び雇用情勢について)
 政府が本年5月に発表した月例経済報告によりますと、「最近の我が国の景気は、企業部門の改善に広がりがみられ、着実な回復を続けている」とされており、その先行きも、原油価格の動向など一部不安定な要素はあるものの、回復基調が続くと見込まれております。
 また、雇用情勢は、完全失業率が高水準ながらも、このところ低下傾向で推移していることなどから、厳しさは残っているものの改善しているとされております。
(本県経済の動向及び雇用情勢について)
 しかしながら、このような全国的な景気の回復基調は、地域や業種によって大きな格差があり、本県においては未だ実感できていないのが実情であります。
 日銀長崎支店が5月31日に発表した金融経済概況等により県内の経済状況をご説明いたします。
 まず、大手・中堅造船では、世界的な荷動きの活発化などを背景に高水準の受注残高を抱え、生産も高めに推移して、増産投資を行う動きもみられます。しかし中小造船では、一部に新規受注が増加しているものの、全般的には新船・修繕船ともに受注が低迷して、手持ち工事量が少ない状態が続いており、依然として厳しい状況にあります。
 また、一般機械のうち原動機は、引き続き低水準な生産ながら、海外からの大口受注が増加しております。しかし、大・中型モーター、制御システムについては、国内外の需要不振により新規受注が低迷し、生産も低水準となっております。
 電子部品等については、デジタル家電などが好調なことから、シリコンウェハーや汎用ICの生産が高めの水準となっており、為替の変動などの不安要因はあるものの増産投資の動きもみられます。これに伴い一部には、雇用者の増加がみられております。
 次に陶磁器については、食器の需要が低迷していることに加え、中国製品との競合もあり、生産、販売ともに低水準となっております。
 また、繊維についても、中国製品等輸入製品との競合が激しく、受注量、受注単価ともに引き続き低い水準ににとどまっております。
 さらに、業種によっては、鉄鋼等原材料価格が上昇していることにより、入手が困難になるとともに製品価格に転嫁できないなど、収益に悪影響が出てきております。
 公共投資は国、県、市町村などの厳しい財政状況を反映して、件数、請負金額とも前年度を大きく下回っております。しかし住宅投資については、新設住宅のうち貸家が増加したことなどから、4ヶ月振りに前年同月を上回りました。
 個人消費については、食料品が百貨店、スーパーともにほぼ前年並みとなったものの、衣料品の販売が振るわなかったことなどから、全体としては引き続き盛り上がりを欠いた状況が続いております。
 4月の企業倒産は、件数は前年同月を下回ったものの、負債総額は前年同月を上回っております。
 このように、県内景気は一部の業種や企業で持ち直しの動きが継続しているとはいうものの、業種間、企業間で格差があり、全般的には引き続き厳しい状況にあります。
 また、雇用情勢も、有効求人倍率が2ヶ月連続で0.4倍台となるなど依然として厳しい状況が続いております。
 県としては、このような情勢に対応するため、4月27日に経済活性化推進本部会議を開催し、雇用の確保・創出と人材育成、地場企業の発展支援、県産品のブランド化、県内製品・県産品等の積極的な活用と優先使用及び公共事業の着実な執行と地元企業への優先発注など、当面の経済活性化・雇用対策に、関係部局相互の緊密な連携のもと、積極的に取り組んでいくことを申し合わせました。
 また、雇用の確保については、推進本部の下にプロジェクトチームを立ち上げ、平成17年度以降3ヶ年程度の中期的な雇用創出目標を設定し、目標達成のための計画を検討していくことといたしました。
(平成16年度の重点施策について)
 平成16年度は、昨年同様、本県経済の活性化と雇用対策を当面の最優先課題と位置付け、「元気のある企業と新たな雇用機会の創出」及び農林水産業も含めた県内産業全体の活性化を図るための「長崎ブランドの確立による農林水産業の振興」、「次代を担う人材の育成」を重点施策の柱とし、地場企業の振興、新産業の育成、県産品の販路拡大、企業誘致の推進などにより、県内経済の活性化と雇用の場の創出を積極的に進めてまいりたいと考えております。
 以下、その取り組みについてご説明申し上げます。
(雇用対策について)
 先ほども申し上げましたように、本県の雇用情勢は、平成16年4月の有効求人倍率が0.48倍と2ヶ月連続で0.4倍台となり、全国の0.77倍を大きく下回るなど、厳しい状況が続いております。
 中でも、若年者については、本年3月卒業者の就職内定率が、高校が88.7%、大学等で85.3%と、昨年度より改善はしているものの、依然として厳しい状況にあります。また、中高年者についても、有効求人倍率が0.27倍と他の年代に比較して低い水準となっています。
 このような厳しい情勢に対処するため、引き続き緊急地域雇用創出特別交付金を活用して、若年者や中高年者を中心に臨時的な新規雇用の創出を図るとともに、若年者対策として、去る4月21日、長崎市と佐世保市に、新たな就業支援の拠点となる「フレッシュワーク」を開設いたしました。
 「フレッシュワーク」では、職業紹介のほか、職業情報の提供、職業適性診断や相談、在校生や保護者へのセミナーの開催等、在学中における職業観の育成から進路選択、就職、職場定着に至る一貫した就職支援を行ってまいります。
 また、セミナーの開催などに当たっては、在校生や保護者の集まりにこちらから出向くなど、現場の声や需要に、積極的に対応しながら推進することといたしております。
 なお、去る4月20日、本県は、経済産業省が全国から15道府県を指定する「地域産業活性化人材育成事業」のモデル地域の一つに決定されました。県といたしましては、この事業を有効に活用し、産業界が求める人材の育成に産学官が連携して努めるなど、若年者の就職支援をさらに強化してまいりたいと考えております。
 また、中高年者に対しては、新たに設置した再就職支援センターにおいて、就職支援セミナーや職場体験事業、求人企業面談会の開催等により、早期就職の実現を支援してまいります。
 また、障害者の雇用についても、新たに、障害者雇用アドバイザーを長崎地区に2名、佐世保地区に1名配置し、進路相談、実習先の開拓や付き添い指導、就業後の定着支援などに取り組んでおります。
 今後とも、関係機関との連携を図りながら、雇用の創出と効果的な就業支援に努めてまいります。
(中小企業の新分野進出等への支援について)
 本県経済の発展にとって、製造業事業所数の99.6%、商店数の99.4%を占める中小企業の活性化を図ることは喫緊の課題であり、そのためには新製品の開発や新サービスの提供など新分野への進出や、それを支える人材の育成及び営業力の強化に対する強力な支援が求められております。
 このため、本年度から新たに、企業が、自らの経営資源を見直し、これを活用して新しい事業展開を図ろうとする場合、商品開発から設備投資、市場調査に至るまでを総合的に支援する新規事業に取り組んでおります。
 この事業は、主に、独自技術を持ちながら伸び悩んでいる一般機械、造船関連企業や優れた県産農林水産物を原材料とする食品製造業などを対象に、企業が作成した「新事業展開計画」を審査の上、今後の発展が見込まれると認められた企業に対しては、新事業の展開について総合的な支援を行ってまいります。
 具体的には、緊急的研究開発、市場調査、営業人材確保及び見本市出展などに対して、企業が必要とする支援を機動的に行うほか、県内で工場等の新増設など設備投資を行う場合には、一定の新規雇用を要件として助成を行う「第二創業等新事業展開支援事業」や「同資金」により支援することとしております。
(中小企業の経営改善支援について)
 長引く景気低迷により中小企業の経営環境は極めて厳しい状況が続いております。このため、県では昨年度に引き続き、経営改善に意欲のある中小企業に対し、商工会議所、商工会等と中小企業診断士が連携して、経営改善計画の作成を支援する「中小企業リバイバルプラン支援事業」を実施するとともに、その計画実行に必要な資金の調達を支援するため、長期・低利の「中小企業リバイバルプラン支援資金」を設けております。
 昨年度は、76社がこの制度を利用して経営改善計画の策定に当たり、この5月までに、うち66社の計画が経営改善計画審査会において認定を受け、融資を希望した24社に対し融資が行われました。
 制度を利用した企業からは、「自社の経営課題が明確になり、経営改善の方向性が分かった」、「必要な資金調達ができた」などの声が寄せられております。
 今年度も、迅速な審査と適切な助言・指導に努め、より実効性の高い経営改善が図られるよう取り組んでまいりたいと存じます。
(中小企業への金融支援について)
 厳しい経営状況にある県内中小企業者の資金需要に対応するため、県では、各種の長期・低利の制度資金を設けておりますが、新たなニーズも多く、それに機敏に対応して制度を見直しするなど、より効果的な金融支援に努めております。
 今年度は、より迅速に対応するため、新たな保証制度として「長崎パワーアップ資金」を創設いたしました。
 この制度は、一定以上の財務内容を有する中小企業者を対象とした、迅速な審査と無担保、保証人なしを特徴とする制度であり、県と信用保証協会及び金融機関が共同でリスクを負担するものでございます。
 また、平成14年度から2年間実施してまいりました制度資金の新規融資分にかかる償還期間の延長措置につきましては、中小企業を取り巻く経営環境が依然として厳しいことから、引き続き17年度までの2年間継続することといたしました。
(大学等発ベンチャー創出事業について)
 大学等の研究成果を事業化に結びつけ、本県における新産業の創出を図るため、平成15年度から(財)長崎県産業振興財団を通じて、「長崎県大学等発ベンチャー創出事業」を実施しております。
 この事業は、審査の上、有望な事業計画に対しては、最大で5,000万円の投資と5,000万円の補助金の合わせて1億円の支援を行う「1億円枠」と最大1,000万円の補助金により支援する「1,000万円枠」がございますが、平成15年度は、「1億円枠」に、長崎総合科学大学の研究者の半導体分野の案件を採択し、投資1,000万円、補助金5,000万円の資金支援を行いました。
 また、「1,000万円枠」については、長崎大学の研究者の遺伝子・医療計測機器分野の案件を採択し、1,000万円の補助を行いました。
 いずれの案件につきましても、経営面については、その立ち上がりを指導する、いわゆるインキュベーションマネージャーによる支援も実施いたしました。
 その結果、両案件とも会社の設立を果たし、売上も見込める段階に入っておりますので、今後の事業の成長について、引き続き支援を行ってまいりたいと存じます。
 なお、平成16年度採択予定の新たな案件については、去る5月25日から公募を行っております。
(企業誘致について)
 県及び(財)長崎県産業振興財団は、現在横浜市にあるAIGエジソン生命保険(株)のコールセンターの誘致に取り組んでおりましたが、その結果、長崎市への移転に成功し、去る5月19日、県、市及び同社との間で立地協定を締結いたしました。
 このコールセンターは、今年9月には一部業務を開始し、12月までに全業務の長崎移転を完了する予定であります。今回の立地に伴う地元採用計画は約100名で、既に誘致済みの4社と合わせて、AIG生命保険グループで約1,200名の雇用が予定されております。
 企業誘致については、今後も引き続き、高い技術力を有する製造業関係の企業を基本に、コールセンターや県内企業との協調、連携が可能な企業の誘致について積極的に取り組んでまいりますが、本年度からは、さらに(財)長崎県産業振興財団長崎本部、東京及び大阪の企業立地センターに、民間採用によるマネージャーを各1名配置するなど強化を図り、活動の手法などについても常に見直しを行い、より一層迅速かつ機動的な誘致活動を展開してまいりたいと存じます。
(県産品の振興について)
 県産品の振興については、農林・水産・商工各部局が一体となり、特に大都市圏への販売促進に、努力してきたところであります。
 この結果、首都圏における平成15年度の長崎県産の産直鮮魚販売額は約6億2,000万円と、前年度と比べ13%増加するとともに、水産加工品のギフト商材として、新たに伊勢丹とイオングループが本県産を採用するなど一定の成果が上がってきております。
 また、「長崎俵物」についても、昨年7月の長崎空港へのアンテナショップの設置に続き、この3月には東武百貨店池袋店へ出店し、首都圏での販売拠点を確保したところであります。「長崎俵物」の平成15年度の販売実績は、約4億5,500万円となっております。
 さらに、本年2月に東京で開催した「旬の食材キャンペーン」では、約800名のバイヤーの参加があり、商談額は約1億5,800万円に上っております。
 次に島原手延そうめんについては、一昨年7月、三輪そうめんの産地表示違反を契機に三輪の商社からの発注が減少、納入価格も低下するなど厳しい状況に陥っているところであり、平成15年度の生産量は、前年と比べ5.8%減の17,773トン(全国シェア31.2%)と落ち込んでおります。
 一方、新ブランド「手延素麺 島原」については、大都市圏を中心に販売を展開し2年度目を迎えましたが、現在、デパート等との商談も順調に推移しており、16年度は前年と比べ倍以上の売上げを達成すると見込んでおります。
 県としても、島原手延そうめんの知名度向上とデパート等に対する販路拡大を図るため、引き続き、首都圏や関西圏でのテレビスポット等によるPRを推進してまいります。
 陶磁器については、中国製品等輸入品の増大等により、全体としては依然として厳しい状況が続いておりますが、波佐見焼の展示・体験を含む観光交流拠点として、昨年4月にリニューアルオープンした波佐見町観光交流センターの年間入場者が約2万1,000人を数えるなど、産地活性化に向けて明るい材料もございます。
 今後は、このセンターをより一層活用するほか、波佐見・三川内両産地による連携活性化事業、需要開拓事業、産地プロデューサー事業、見本市等出店事業を推進するなどにより、引き続き産地の活性化に取り組んでまいります。
(県産品のブランド化について)
 県産品のブランド化については、近年、特に力を入れているところでありますが、今年度から新たに、全国ブランドとして通用する可能性のある商品を厳選し、その生産から販売に至る総合的な市場調査や広告・宣伝・販路拡大を戦略的に進めるために「ブランドながさき総合プロデュース事業」を実施いたします。
 事業の展開に当たっては、民間の知恵や手法を最大限に活用し、特に大都市圏において集中的に宣伝等を実施し、本県ブランド化の先駆的商品を生み出していく計画であります。今年度は、5品目程度の戦略商品を選定し、新たなブランド化に取り組むこととしており、現在、県と共働して事業推進にあたる民間の企画会社の選考を終え、推進体制の構築と戦略商品の選定準備に着手したところであります。
 また、今年度から新たに、産地のブランド化にも取り組み、産地が一体となって行う地場産品の知名度向上と販路拡大のための活動を支援し、平成18年度までに「島原手延そうめん」、「壱岐焼酎」、「五島手延うどん」について、産地ブランドの確立を目指します。
(県産品の中国市場への輸出促進等について)
 急速な成長を続ける中国市場への県産品の販売ルートの開拓などを目指して、商工労働部内に対中国戦略検討チームを設置いたしました。
 検討チームでは、農林水産物や陶磁器など県産品の中国への輸出を促進するための前提要件となる、中国国内の物流、販売網の調査及び輸入許可取得や通関業務の簡素化等について政府機関や関係企業との折衝を行います。
 また、これと併せ、農林水産物の輸出促進については、農林水産省の新規事業である「日本産ブランド輸出促進事業」を活用して、生産者団体等と一体となり、まずは平成16年度から3ヶ年をかけて取り組んでまいります。
 初年度となる平成16年度は、上海市において事業展開することとしており、9月の長崎の食材を使ったメニュー提案型のフェアを皮切りに、一般消費者向けの物産展やバイヤー、レストラン等の仕入れ担当者を対象とした商談会を開催し、本県農林水産物の優れた品質をアピールして輸出促進につなげていくこととしております。
(中小商業の活性化について)
 中小商業は、長引く消費の低迷や消費者ニーズの多様化、大型店舗の出店などの影響を受け、厳しい状況が続いております。
 このような中、県といたしましては、国や地元市町村と連携しながら、商店街組合等が行う新たな魅力づくりのための積極的な取り組みが円滑に進むよう支援しているところであり、今年度は、長崎住吉中園商店街や大村市本町三四丁目商店街のアーケード改修事業に対し助成するほか、長崎市や諫早市におけるチャレンジショップ事業などを支援することとしております。
 また、効果的な商店街対策のためには、商店、消費者双方の実態を把握することが重要であることから、昨年度、その調査を実施いたしました。
 その結果、課題となっている空き店舗対策について、一部に様々な取り組みがみられるものの、商店街としての取り組みは、まだ全体の3分の1程度にとどまっていること、また多くの消費者が個々の商店の魅力向上を望んでいるにもかかわらず、商店街としての取り組みは全体の5分の1程度にとどまっていることなどが分かりました。
 県といたしましては、このような調査結果を踏まえ、これまで新規開業者を生み出すなどの具体的な成果が出ているチャレンジショップ事業をはじめとする空き店舗対策をさらに進めていくとともに、個々の商店の魅力向上も図っていく必要があると考えており、できるだけ多くの商店街に出向いて意見交換を行い、具体的な支援策を検討してまいりたいと存じます。
(商工会の合併について)
 対馬市の誕生に伴い、去る4月1日に対馬地区6商工会が合併し、「対馬市商工会」が誕生いたしました。他の地区においても、市町村合併に対応して県内8地区に商工会合併協議会が設置され、合併協議会が行われております。このうち、上五島地区5商工会においては、8月1日の合併に向けて協議を進めており、5月7日に合併調印式が行われたところであります。
 県といたしましては、商工会合併協議会の運営経費や合併に伴う施設改修経費を助成するなど、商工会の合併に向けて積極的に支援してまいりたいと存じます。
(高等技術専門校の活用について)
 長崎、佐世保の両高等技術専門校では、従来から続けてきた新規学卒者を中心とした職業訓練に加え、今年度は、中高年離職者対策として、長崎校で三菱重工業(株)長崎造船所との提携による「造船配管科」の訓練を、佐世保校でNTTとの提携による「光ファイバー施工科」の訓練を、また、若年求職者対策として両校で地元放送局との提携による「コールセンター実務科」の訓練を実施することとしており、今月から開講いたしております。
 今後とも、どのような人材を企業が求めているのかなどを常に把握し、情勢の変化に即応できる、機動的で効果的な職業訓練に努めてまいりたいと存じます。
(パナソニック・コミュニケーションズ長崎工場の閉鎖について)
 このたび、諫早市に立地し主にファックスを生産しているパナソニック・コミュニケーションズ(株)長崎工場が9月に閉鎖され、佐賀工場に集約されることとなりました。
 現在、長崎工場には正社員147名、パート従業員46名の計193名の従業員がいらっしゃいますが、同社はこれらの方について、佐賀工場への配置転換を含め雇用の場の確保について最大限の努力を行うと伺っております。
 今後、再就職支援等の希望がある場合には、関係機関と連携しながら迅速に対応することとしております。
 以上をもちまして、商工労働部関係の説明を終わります。
 よろしくご審議を賜りますようお願いします。
◆溝口副委員長 せっかくですので、7ページの、4月20日に経済産業省が全国から15道府県を指定する「地域産業活性化人材育成事業」のモデル地域の1つとして長崎県が決定されておりますけれども、応募者が26県あった中の15道府県でございますので、長崎県として、この事業にどのような形で取り組んでいこうとしているのか。この説明によると、「産業界が求める人材の育成に産学官が連携して努める」ということでございますけれども、それぞれの道府県を見てみますと、それぞれ特徴がある形でやっているようでございます。その辺については具体的といったらあれですけれども、大まかな県としての考え方を聞かせていただければと思います。
◎町田雇用労政課長 本県における「地域産業活性化人材育成事業」の特徴でございますが、まず長崎県につきましては、産業基盤というものが、いわゆる造船とか、機械の基礎技術がございますので、まず分野といたしましては、そういった基礎技術を活用して新しい分野、例えば海洋であるとか、環境関連であるとか、そういった産業に展開できる人材を育成するというのが1つ大きな分野でございます。
 それから、今後はやはり情報関連が重要な分野になってきますので、情報関連分野、それから長崎県の主要産業である観光産業分野、この3大の産業分野につきまして、重点的に人材育成をしていこうということでございます。
 それから、育成していくためのシステム、仕組みといたしまして、産業分野ごとに産学官のネットワークをつくろうということでございまして、これまでいろんな産学官のネットワークがございますが、人材育成から就業支援につながるネットワークというのはございませんので、そういったネットワークをつくりたい。
 具体的には、そこのネットワークの中でも、産業界のニーズをある程度把握していこうと。それから実際に産業界が求めるニーズに沿った人材を育成するためのカリキュラムをどういった形でつくった方がいいのかということにつきまして、大学とか、高校とか一緒になって検討していこうということでございます。
 それから、あわせまして実証事業という言葉で言われておりますが、実際の訓練、それから研修というものを同じようなネットワークの中の構成団体のところで、教育機関であるとか、そういったところで実施していこうというのが特徴でございます。
 今年度につきましては、主にそういったニーズ調査に基づきます求人情報も含めたデータベース化をやりまして、そのニーズ調査に基づくカリキュラムを今年つくろうということにいたしております。来年度以降、本格的にそのカリキュラムに基づいた人材育成、研修、訓練をやっていこうということでございまして、研修、訓練につきまして、今年度は、まずスタートアップとして基礎人材の育成を実施していこうということで考えております。
 以上でございます。
◆溝口副委員長 資料等をもらった中では、平成16年度予算で国としては52億5,000万円を一応予定しておるようでございますけれども、単純に今15県で割れば3億5,000万円ぐらいの予算があると思うんですけれども、県として、今年度予算要求としては大体どのくらいしているんですか。
◎町田雇用労政課長 全国での予算枠として52億円ということでございますが、モデル地域の中で確かに大きい県、いわゆる都市部に近い県、それから地方の県いろいろございます。全国一律ではございませんで、長崎県の場合は、平成16年度枠として2億6,000万円の予算がついているということでございます。
◆溝口副委員長 2億6,000万円ということでございますけれども、この事業については一応県が主体にはなると思うんですけれども、このフレッシュワークですか、長崎市とか佐世保市との関連については、どういう関係を持っていこうとしているんですか。
◎町田雇用労政課長 フレッシュワークとの関連でございますが、もともと「若者のためのワンストップサービスセンター」、それから人材育成事業につきまして、国が委託する団体は県ではございませんで、経済団体等を想定しておりました関係上、長崎県の場合は長崎商工会議所に委託するような形で、国の方から長崎商工会議所にお金が流れてまいります。県は、その運営、その他の面について一緒になって検討していくという立場にございます。
 フレッシュワークの関係でございますが、人材育成という形になりますので、フレッシュワークの方で先ほど来説明いたしましたとおり、今のところ延べ人数としては1,200人の若者が訪れておりますので、こういった方々に対して研修なり、訓練なりを積んでいくという形でございまして、こういった方々がどういった分野に就職したいのかというニーズも踏まえながら、そういったことを実施していきたい、このように考えております。
◆溝口副委員長 新規的な事業ですけれども、これは大体何年間ぐらいの継続予算になっていくわけですか。
◎町田雇用労政課長 これは若年者の自立挑戦プランという国全体の枠の中で計画されているものでございまして、国の方でも短期集中的にやりたいということでございまして、平成16年度から3カ年間ということで予定はされております。
 以上でございます。
◆溝口副委員長 そうしたら今年の場合は52億円ですけれども、来年度から本格的に事業に入っていくということになれば、それぞれ相当な予算枠の要求があると思うんですけれども、国としての来年度、再来年度の予算関係については大体どのくらいの計画があるんですか。
◎町田雇用労政課長 この「若者自立・挑戦プラン」の次年度以降につきましては、国の方からまだはっきりした方針のご回答をいただいておりません。
 ただ、3カ年間でやるということでございますので、まず、経済産業省の「地域産業活性化人材育成事業」が来年度も52億円つくのかどうかというのも、いま一つ不明でございますし、なおかつモデル地域が今年度15地域でございましたが、場合によっては来年度増やすのかどうかというのも不明でございます。
 ただ、検証事業をやりたい、いわゆる事業の進捗状況を把握したいということで国は考えておりまして、12月ぐらいにはどれくらいの実績が上がったかというのを把握したいというお話を伺っております。その辺に基づいて、来年度の予算要求が固まっていくものだろうということで認識しております。
 以上でございます。
◆溝口副委員長 先ほどの基本的な考え方として、新規分野の人材育成ということでございますけれども、産学官で人材を育成していくということであれば、企業が求めるだけの人材の育成か、チャレンジショップじゃないですけれども、そういう新しい事業を起こすための人材の育成も考えているのかどうか、その辺について伺います。
◎町田雇用労政課長 現在の地域産業活性化人材育成事業で想定いたしておりますのは、やはりカリキュラムに沿って人材を育成していくということでございまして、その中には委員おしゃっている起業、業を起こす方の分は含まれておりません。
 ただ、私どものフレッシュワークでは、そういった方々に対しても支援は行いたいと思っていますので、起業セミナー、業を起こすためのセミナーなんかは検討してまいりたいと、このように考えております。
◆溝口副委員長 就職というものには、かなりそれぞれが力を入れてきていると思うんですけれども、やはり企業を起こす方々が意欲を持てるような産学官の、学校を巻き込んで、そして、企業を起こしている方々の実際の需要とか何とかを積極的に県としても取り上げて、このフレッシュワークに1,200名の方々が登録されているわけですから、人から使われるよりも自分も起業家として、こういう形で起こさないかという意欲を持たせるような指導というものもぜひしていただきたいと私は思うんです。今、企業が倒産してだんだん少なくなってきているから、雇用力がなかなか高まらないということもあるし、もう一つは、反対に今度は倒産した人が会社更生法じゃないですけれども、倒産して、また新しく今度は事業をしたい人たちはまた新しく事業をするというパターンが生まれているんですよ。だから、失敗をしても事業を起こすという魅力が事業家の方々にはあると思うんです。だから、その魅力を少しでもこういう場面の中で、いろいろな形で教えていただきたいなと思っているんですけれども、その辺については部長は考えていませんか。
◎中本商工労働部長 これは4省庁が連携した施策でございまして、「若者自立・挑戦プラン」といった構想の中で位置づけられて、予算化された事業でございます。
 その名称にもありますとおり、「若者自立・挑戦プラン」という中には、ご指摘のとおり、若者が業を起こす、そういった開業の機運を広範に高めていこうということも当然思想として入っておりますので、先ほど担当課長からご答弁申し上げましたように、フレッシュワーク、両方の機能の中でそういった相談にも十分対応していくような対応をとっていきたいと思っております。
 私どもが指定を受けましたモデル事業につきましては、地域産業の再生振興を図ると、それも既存の技術的なものをさらに活かした形で、今から成長が期待できるような分野の産業興しに資するような人材育成を図っていこうということで考えておりまして、短期的な就業支援というよりも、やはり長期的な産業興しを通じて雇用問題を長期的に改善していこうという考え方のもとに取り組まれている事業ですので、我々としてもそういった対応をしていきたいと思っております。
◆溝口副委員長 先ほど来、中田委員からも空き店舗のチャレンジショップについて質問がありましたけれども、チャレンジショップ事業によって空き店舗を使う人たちを育成していく、業を起こさせるということに意義があると思うんです。だから商店街だけではなくて、自分たちでチャレンジして事業を起こしていこうという考え方を持てるように、県の金も使って育てていただきたいなと思っておりますので、ぜひよろしくお願いいたします。